凄く意外かもしれないけど、マライアは率直で、•おしゃべりで、何より人なつっこい女性だった。ディーヴァと呼ばれながら、自分の基本的な部分をとても大事にしている彼女、このインタビューを読んだら、きっと好きになるはずだ。
アメリカン・ミュージック・アウォーズでは衣装に不具合があったみたいだけど、どうだったの?
あんなことがあって凄く残念だったわ。衣装の中に縫いこんであったんだけど、完全に縫ってなかったみたいなの。あの衣装にはジッパーがついてなくて、私が自分で押さえてたのよ。凄く薄手の素材だったから、何か余分なものがついてると凄く目立つの。だから、スタイリストが体に合わせて縫っちゃいましょうって言ったわけ。私もそういうことは何回もやってきたから慣れっこだったはずなんだけど、今回だけはどういうわけかそれが上手くいかなくてね。ショーが始まってから私はホテルの部屋にいて、スタイリストはトレイラーの中にいて、“あと10分で出番です!”ってなってたから、どうしたらいいのよ?って感じだったわけ。私、衣装もまともに着れてないのに、裸で行けっていうの?って。何かをジョークにするんだったら、少なくとも旬な話題をジョークにしてって感じよね。「グリッター」(大コケしたマライアの主演映画) なんかジョークにするには話題として古すぎるんじゃないかしら?いつだって時代のちょっと先を行かなきゃね。特に私が作ったレコードなんて、ここ何年かで一番売れたレコードなんだから。まあいいんだけど。
世界中で一番好きなのは?
私は日本が大好きなの。凄くいい所よ。・・・だけどドレスについては、私もバカだったわ。だけどあのドレスが好きだっていう男性からは好評ではあるの(笑)。だから私はほぼ裸の状態で授賞式のオープニングを飾ったっていうわけ。スリットはこーんな上の方まで入っちゃってて、目の前にはウィル・スミスとジェイダ・ピンケット(・スミス)が客席の一番前の席に座ってたでしょ。ウィルのことは私が17歳の頃、バック・コーラスをしてた時から知ってるの。だけどこれまで自分の歌を歌ったことなんてほとんどなかったのよね。だけどあの日ほぼ初めてっていうくらいで歌ったら、”どうして契約を取る前に歌ってみてくれなかったんだい?”って言ってきたの。とにかく、ステージからオーディエンスに向けて、まるで友達に喋ってるかのように事の顛末を話してたのよ。“今日危なくステージに遅れるところだったわ”ってね。そのスリットのドレスの下には下着も一切着けていなかったのよ。だからもしあそこでドレスがはだけて脱げてしまっていたら、もうおしまいだったでしょうね。多分私がわざとやったんだって言われちゃうだろうし。そういうことをわざとする人っているんだけど、私には私の事情があったのよ。そんなわけで受賞した時にスピーチでファンのみんなにありがとうって言うの忘れちゃったの。私、そういうのって絶対に忘れないのに!
あなたはいつもファンとの関係を大事にしてるけど、どうやって交流を持ってるの?
そうねえ、いろんな国を廻ってその度に同じファンの顔を見かけると、そのファンの人達と一緒に成長しているような気持ちになるの。いつもファンの人達が私の切り抜きを集めて本にしてくれてるんだけど、今はあいにく持ってきてないのよね。そんなにしょっちゅうは読み返したりする時間はないんだけど、私が気に入ってる本はカナダの女の子が作ったもので、ジョークが沢山入ってるものよ。私の発言なんかを注意深く聞いてくれてて、それを書いてその下にキャプションをつけて写真も載せるわけ。いかにもファンの子が作ってくれたっていう本だわ。私のファンはみんな凄く熱心でいてくれるの。大げさに言ってるんじゃないかって思うみたいだけど、本当にそうなのよ。私って大丈夫なんじゃないっていう気持ちにさせてくれるのよね。私が有名になりたかったのは、そういうことが理由でもあったのよね。音楽を作って、自分のことをキレイだなんて思えなかった辛かった子供時代から抜け出し自して・・・
自分のことをキレイだと思えなかった時代があったなんて信じられないわ。
本当にあったのよ。“人と違う”って相当苦しいことなんだから。人種的に色々混ざってるとね・・・私の父親は黒人で母親は白人なの。それで父親にはスペイン系の血も入ってるから、ミックスなのよね。小さい頃は13回も引越しを経験して、母親との生活もお金なんて本当になかったのよ。
どんなニックネームだったの?
ニックネームは凄く沢山あるわよ。ママ(元オペラ歌手)は私がニックネームで呼ばれないようにっていう理由でマライアって名付けてくれたんだけどね。
お母さんはステージで使えるようにという理由でマライアって名付けたんだと思ってたけど?
それもそうなの。私ミドルネームがないのよ。嘘をついてるんじゃないかって思われるんだけど、ミドルネームがないのは本当よ。ママ自身がスターになるんだって言ってたのよ。
お母さんはディーヴァらしく振るまっていたの?
ママは離婚した後に凄く一生懸命に働いて私達を育ててくれたの。ママはオペラシンガーとしてもっと大成出来たはずなのに、私の父親と結婚したせいで、オペラの世界で物凄い人種差別を受けたのよ、じられないかもしれないけど。ママがオペラをやっていた頃っていうのはそうだったんでしょうね。家族の為に自分を犠牲にして、家族を大事にしてくれたわ。だから自分のオペラ歌手としてのキャリアは花開かなかったけど、私の成功をずっと願い続けてくれたの。
あなたが類稀なるいい声を持っていることにお母さんが気付いたのはいつ?
ママが言うにはね、私が生まれた時なんですって。生まれたのは3月27日で7パウンド11オンス(約3489グラム)だったんだけど、生まれてすぐに看護婦さんが声がいいって思って、"この赤ちゃんはラッキーね!※って言ったの。だけどそれって面白いのよ。父親は数年前に亡くなったんだけど、死ぬまでずっとマライアって名付けたのは自分だって言い張ってきたの。だけどママも同じこと言ってたし、ママが声がいいって気付いたからマライアって名前にしたっていう解釈をしてきたわよ。私なら出来るって言じてくれたのよ。
あなたの人生で今が一番楽しいようね。
私は声を労わらなきゃいけないから、すごく楽しい時でもあんまり声を出しすぎないようにしたりお喋りもほどほどにしなきゃいけないの。それが結構大変なのよ。私のかかりつけの喉のお医者さんは私の声帯がとても変わっているって言うの。私が高音を出せるのは、私の声帯にノズルがついてるからで、これからもそれは変わらないんですって。高い声が出せるのはこのノズルがあるおかげだから、手術で取ってしまったりはしたくないのよね。疲れてる時は高い声にも力がなくなるから、保湿には気をつけなきゃいけないの。だからお水を飲んだりお水のスプレーをしたりしてるのよ。だけど一番効くのはやっぱり喋らないことなのよね。友達と一緒の時にそんなことをすると物凄くつまらないわよ(笑)。あとは余分に睡眠を取るようにするわ。それくらいかしら。そういうわけでパーティーだってあんまり出来ない
の。
最近は充分睡眠を取ってるの?睡眠を取るのが大変だったこともあるのかしら?
過去にはそういうこともあったわ。不眠症だったの。ず〜っとそうで、いつも不眠症だってマスコミに書かれてたし報道されてたの。だけど今は凄くリラックスした状態だし、そういう喧騒から自分を切り離すことが出来るの。だけど今夜なんかみたいに、夜通し衣装のチェックをしたりして明日の朝9時までに完成させなきゃいけなかったりするのよ。耳にモニターをつけていろんなことを同時にこなしていくっていうわけ。
あなたはセレブの中でも珍しく恋人がいないわよね。
まあそう思っていいわよ。
だけど恋愛について歌うことは多いでしょ?
そうね。
曲の中で♪カプリ島に家があって〜♪なんて歌詞はあんまり使わないんじゃない(「ゲット・ユア・ナンバーfeat.ジャーメイン・デュプリ」)?
あれはね、私とジャーメインでスタジオで遊んでただけなのよ。ジャーメインとは友達だから一緒に仕事をしてもとっても楽しいわ。その上アーティストとしても人間としても私を高めてくれるの。彼と仕事をしてるとまるで家族と一緒にいるみたいなのよね。まあ私の家族と一緒にいるってわけじゃなくても、私のことを愛してくれて、レコードのことも親身になってくれてる家族ぐるみの友達みたいな感じかな。その上ジャーメインと私はクリエイティヴな面でも本当に相性がいいの。彼は12歳でブレイクダンスをしてた時からヒップホップが好きになって、そこからプロデュースの仕事に入っていったのよ。だから彼はオールド・スクールのR&Bを知ってるし、新しいものも知ってるの。それが私のテイストにぴったりなのよね。
じゃあ携帯で恋人と別れ話をするのは?あなたがよく知ってることじゃないの?
携帯じゃなくて、普通の電話よ(笑)。どうしようもなかったのよ。あれは結構なドラマだったわ。
あれは実際の話から作られた曲だったってわけね。
そういうことにインスパイアされたんだと思うわ。「シェイク・イット・オフ」はこのアルバムの為にジャーメインと一緒に書いた中でも最初の方に書いたのよ。私って凄くストレートで分かりやすいバラードをいつも期待されるんだけど、やりたくないの。そういう曲も書けるし出来るし、そういう曲が好きな時もあるんだけど、私が一番好きなのはアーバン音楽なの。R&Bなのよ。
暗い中で歌った方が恐怖心を取り払えるのかしら?
あのね、何か歌う機会があったりするでしょ、それでちょっと緊張してたりするじゃない。それでリハーサルをすることで緊張をなくそうとするわけだけど、私が本気で歌う時ってシャワーに入ってドアをロックして、声を出してる間は誰も近づかないようにって言わなきゃいけないの・・・声が大きすぎるから(笑)。もし私が本気で声出しをするとなったら、本に時間を5分間って決めて思い切り出すわ。何小節か歌って止めるのよ。私の声は普通と違うから、本番までに2日休めなきゃいけないの。
そうやって安心するの?
それが面白いんだけど、私の声って凄く強いんだけど、それと同時に凄く敏感なの。赤ちゃんみたいなのよ。だから水とりんごジュースを少~し混ぜたものだったらいいんだけど、それも一晩に8杯は飲んで、歌う前に必要なだけの潤いを喉に与え万全の状態にしておかなきゃいけないわけ。
「カプリ島でレコーディングしたのはなぜ?アメリカ人がカプリ島でレコーディングするのって珍しいんじゃないかしら。
アメリカン・アイドル」(ケリー・クラークソンやクレイ・エイケンを輩出した米オーディション番組)が始まるず~っと前から、ランディ・ジャクソンはトップレベルのスタジオ・ミュージシャンだったし世界中をツアーしてたのよ。イタリアにいた時にランディに連絡を取って、いい曲があるからやってみたいって言ったの。そうしたら彼がカプリに最高の場所があるって教えてくれて行ってみたら、もうすっかり気に入っちゃったの。空気もきれいだから私の声にとっても一番いい気候だわ。
イタリアでのライフスタイルは吸収した?
イタリアのライフスタイルって最高じゃない?イタリアって一番好きよ。食べ物でしょ、人でしょ・・・全部大好きだわ。私の兄がイタリアに住んでいたことがあってイタリア語はペラペラなんだけど、昔モデルをしていたのよ。キックボクシングをやってたこともあったり色々なんだけど、それについては私が喋っちゃいけないんだって。兄も私と同じことを言ってるわ。初めてイタリアに行った時、まるで家に帰ってきたような感じがしたんですって。だけど私達はイタリア人でもないし、それはどうしてだろうねって言ってたの。とにかくカプリ島は・特にオフシーズンが素晴らしいの。どこへ行くにも歩くんだけど、カプリではかならず青の洞窟に行く為にオフを2日は取るようにしてるの。私は癒しの水って呼んでるのよ。イタリア系アメリカ人なんだけど青の洞窟には行ったことがないっていう友達はみんなそこに連れていくの。去年はふたり連れていったんだけど、どっちも人生観が変わったって言ってるわ。
コモ湖にあるジョージ・クルーニーの家には行ったことがある?
いいえ、だけどドナテラ(・ヴェルサー手)の家には行ったことあるわよ。ドナテラの家はジョージのすぐ隣のはずよ。
凄く健康的な生活を送ってるようね。
そうだと思うわ。ある意味びっくりするくらい健康的よ。だって私はシンガーだからマイクには充分すぎるくらい気をつけなきゃいけないもの。誰か他の人がマイクに触ったらすぐに消毒しなきゃってね。あと握手なんかもそうよね。オペラ歌手の中には、顔をすっぽり隠さないと家を一歩も出ない人もいるのよ。顔は商売道具だからって。
あなたは10代後半や20代前半にはあまりにも忙しくて私生活がなかったと言っていたわよね?
その通りよ(笑)。
今の若いアーティストを見ると凄く楽しそうよね。今は楽しい?
今は仕事をしてるから無理よ。だけど少しお休みを貰って、その後にこのアルバムを出したらカムバックだって言われたの。これまでで一番のブレイクだとか言われて。このアルバムがこれほどのビッグ・ヒットになることを期待してたかとも訊かれるんだけど、予想なんてしてなかったわ。
じゃあどう考えてたの?
私はただ音楽が作りたかっただけなの。私が大好きで夢中になっている音楽を作りたかったの。
これが売れるんじゃないかってレコード会社が考えたものを押し付けられるのは嫌だったのよ。レコード会社からは、“こんなラッパー達とどうして仕事がしたいんだい?こんなの流行物だよ”って言われたけど、“あなた達には分かってないのよ!”って思ったわ。だけど今では、“オー、ワオ!ラップ・ミュージックか。斬新だねえ!”なんて言ってるんだから。凄くイライラしてきちゃう。だってこれまで何年も自分のアルバムにアーバンな要素を入れようとしてきたんだから。ラッパーとはこれまでずっとリミックスを作ったりって仕事をしてきたのよね。オール・ダーティー・バスタードとも仕事したことあるんだけど、私が仕事をした中で一番ハードコアな人だったんじゃないかな。今頃は安らかに眠ってくれてることを祈るだけよ(04年に死去)。彼との仕事はとても楽しかったし、彼のことも大好きだったわ。本当にスペシャルな人だったわ。
でもラッパーの人達と話は合う?彼は刑務所にもいた人でしょう?
そうねえ、私の家族に会えば分かるけど、従姉妹は重犯罪刑務所で15年間も働いてるの。囚人達の面倒をみる刑務官なのよ。彼女は本当にタフな女性よ。私を見てもそういうのが想像出来ないかもしれないけどね。
“これまでに色々目にしてきた”とも発言してるわよね?
だけどあんまり詳しくは話さないでおくわ。別にお涙頂戴の物語でもないし、私が見てきたっていうのはほとんどが大人がやってたことだから。大人っていうか、私より年上かな。自分が4歳だったら15歳の子でも大人に見えるでしょ。そういう子が子供を生んで結婚してっていう、そういう経験よ。
あなた自身のお姉さんのことも・・・(編集部注:マライアの姉はHIV感染者でその子供をマライアが育てている)
でもそれって私のことじゃないのよね。
何か大変なことが起こったとしても、だから私は話すわけにはいかないのよ。もし私が自分でしたことだったら一日中だってあなたに喋ってあげられるわ。それは出来るだろうけど、それが他人の生活に関することだったら、もしそれが私の兄がしてることでそれが素晴らしいことだったとしても、兄からは自分のプライベートについては喋ってくれるなって言われたの。残念ながら、プライベートなことっていうのは私が子供の頃に多大な影響を受けたことなの。私がやったことじゃないし、その人について喋ったことでそれを読んだその人が気分を害して欲しくないの。母親を怒らせたくないから。
親族は全てに目を通すの?
家族全員かどうかは分からないけど、ママは私について書いてあることはほぼ全て目を通すわね。
宝石には興味ある?
私ね、宝石は授賞式とかでない限りほとんど身に着けないの。小さなダイアモンドとかそのくらいよ。宝石ってちょっと年寄り臭いって思っちゃうの。
じゃあ稼いだお金はどうしてたの?
バケーションよ(笑)。私にとってバケーションを取るっていうのは、仕事をしないで楽しむこと。公衆の面前に出て、セレブで・・・っていうのは、仕事をしてるってことだもの。ディナーを摂っているところに小さな子供がやってきてサインを頼まれて、ノーって言わないでしょ?その子の親が、“今はダメ、彼女は食事中でしょ”って言ってくれるとばかり思うじゃない。だけど言ってくれないのよね。だから失礼に振るまってその子の気持ちを傷つけないようにするわ。それも仕事の一環だって思ってサインをするようにしてるの。そういうことなのよ。もしそういう人達に邪魔されたくないんだったら、その夜は出掛けないで友達の家に行けばいいわけだから。だけどバケーションの時は、島に行って楽しみたいから、誰にも邪魔されたくないの。ヨットを買って・・・そういうこと全てが凄くお金がかかるの。あとは不動産なんかにもお金をかけてるし、宝石も投資になるわよね。大きな宝石を買えば、後々もっと価値が上がるのよ。私って何もなく育ったから。
小さなクラブで歌ってみたいって思わない?
思わないわ。だけどロサンゼルスに小さなジャズ・クラブがあって、そこでは歌ってみようかなって思ったことがあるわ。小さい時にはママに連れて行ってもらってジャズ・クラブで歌ってたのよ。面白いだろうなって思ってたんだけど、ロサンゼルスってクローズするのが早いのね!何だか、“ちよっとここ、外国みたいじゃない!”ってびっくりしちゃった。ロサンゼルスにはしばらくの間いるけど、ニューヨークに帰るのが待ち遠しいわ。ロサンゼルスには・結婚でもすれば住んでもいいって思えるでしょうけど(笑)。まだ結婚するって、言ってもいいわよね(笑)。私、前回は自分でも気持ちの準備が出来る前に結婚してしまったと思うの。結婚したのはプレッシャーを感じたからというのと、結婚すれば彼(トミー・モトーラ、マライアの元夫で、元ソニー・ミュージックの社長)が私が浮気をしようとしてるんじゃないかっていう考えをなくしてくれるんじゃないかっていう理由からなの。浮気なんて、全然私らしくないのにね。私は別に人の取る行動からむやみやたらとこの人はこうだって決めつけたりしないわよ。友達の中には、セックスへの冒険話で私を驚かせようとする人もいるけど、私はただ面白いと思うだけなの。別に気にならないし、あなたらしくいればいいじゃないって思うだけ。私がカマトトぶってるって分かってるから笑われちゃうんだけど。
カマトトなの?
ええ、その上それは子供の頃のトラウマでそうなったのよ。いろんなことを目にしてきたこともそうだし、子供なのに子供を持ちたくないっていう思いとか。自分にはそういう問題が起こって欲しくないって思ってたわ。私はそういう意味で土足で入られたくないって思ってたし・・・って言うのも変なのは分かってるんだけど、これが私なの。
だけどあなたの着てる洋服からは、カマトトだなんて想像もつかないけど?
それが矛盾なの。だから、“一体何言ってるの?”なんて言われちゃう。だけど私にしてみれば、ドレスアップしてバービー人形ごっこしてるようなものよ。だけどそういうのもショーの為にやってることで、対男性では自分のことを凄く大事にしてるし、これまでずっとそうだったわ。だけど結婚した時にもっと強い意志を持っていたら、これで私の人生ちょっとは面倒臭くなくなるかな、とか、これで彼の嫉妬も少しは収まるかななんていう考えで結婚しないで済んだのにって思うわ。そんなの、どんな行動に出るにせよいい理由にはならないわよ。もっとしっかりしてれば良かったって思うけど、若かったし何も知らなかった。もっとしっかりノーと言えれば良かったのよ。今度はプレッシャーを感じて結婚をすることはないと思うわ。だってこれからの私の人生が関係することだものね。結婚生活から抜け出すには、とても大きな強さが必要だったわ。今は心の傷も癒えたけど、誰かが私のことをコントロールしようとしてるって感じると守りに入ってしまつの。
21歳を過ぎた女性アーティストの多くがするように不平を並べたりはしないのね。
しないわ、それは18歳の時に済ませてる(笑)。あんまり変わってる気がしないのよね。この地球にいるでしょ、毎日何かしら学んでると思うの。ステージに出る2時間前にドレスアップしてる時でもね。自分が傷付いたとしても、それを憎しみに変えて後味悪くしちゃいけないの。そんなことしてたら、私も心穏やかに暮らせてないと思うしね。もし天国を少しでも見出せなかったら、地獄を経験したとしてもそこから抜け出せないわよ。じゃなかったら私、凄く意地の悪い人間になってたと思うわ。
エミネムが意地悪だったみたいに?
彼がどういう人かっていうことについては話せないわ。だって彼のことを知ってる、とは思えないもの。人としての彼が分かるって一瞬は思ったけど、友達としてね。だけど性的な友達としては違うわね。
彼がやったことは、本当に哀れよね。
彼が私にしたことっていう意味?だったら哀れっていうのはしっくり来る言葉だわ。私が納得しなきゃいけないのは、スピリチュアルな面で私とは分かり合えない人達のことよ。私のことを傷つけた人、もしくは私が傷つけた人・・・だけどそういう私のことを傷つけた人達のことも、心の中で許さなきゃいけないと思ってるの。だってこれまでにもわざとじゃないにしろ私が傷つけてきた人達はいるわけだから、私にも許しが必要だもの。だからまず他人を許すのは大事よって言えるの。そんなこと私にとってだって簡単なことじゃないし、完全に他人を許せるところまで到達してるわけじゃないわ。だけど努力はしてるの。もしかしたらその人も傷付いていて、そういう人達っていうのは他人を傷つける毎日なのかもしれないわ。だからもしかしたら人の気持ちを傷つけようと思ってるんじゃないかもしれないって思わないとね。
教会にはよく行くの?
行ける時には行くようにしてる。もっと行けたらなと思うんだけど、私が通ってる教会はブルックリンにあるし、凄くつつましやかな教会なのよ。誰でも歓迎されるし、厳しすぎるっていうこともないしね。私の牧様はね、来たい人はどんどん来て欲しいって思ってる普通の男性よ。市の住宅事業で作られた(低所得者向けの)集合住宅のはす向かいにあるから、私がその教会に行ってるなんて誰も考えもしないんじゃないかな。私が生きていて一香リアルだって感じるのは、その教会にいる時なの。ショーでパフォーマンスをするスターっていう私では全くなくて、教会に行って賛美歌を歌うのよ。凄く気持ちが満たされる経験だわ。こういった生活よりもっと凄いことなの。
父親から受け継いだ黒人としてのルーツには以前よりも密接に接してるの?
そうね。だけどママの友達からもいろんなことを学んだわ。そういう人達と接することで、私も大丈夫なんだって思えたの。ママにはゲイの友達もいたの。ママはいろんな人種問わず友達がいたんだけど、その友達はイリノイ州のスプリングフィールド出身でね、本当に普通のいい家で生まれてカトリックの学校に通った人だったのよ。私が学校に通ってた時からの友達はひとりしかいないけど、その子はスウェーデン出身のジョセフィーンっていうのよ。一緒の学校ではなかったけど、彼女が15歳の時からの友達なの。