クリスマス。この年末の一大イベントに向けて活気づく世間同様、音楽シーンにも華やかな活気がみなぎってきた。続々とリリースされるクリスマス・ソング、クリスマス・アルバムの数々。その中から94年の本命盤を1枚選べと言われたら、やはりコレを選ぶでしょうね。マライア・キャリー、初のクリスマス・アルバム『メリー・クリスマス』。
古くから“一流アーティストの証明”とも言われてきたクリスマス・アルバムをリリースしたマライアに、『メリー・クリスマス』に込めたクリスマスへの思いを聞いてみた。
「クリスマス・シーズンは私にとって特別な時なの。ハロウィンが終わると、もうクリスマスが待ちどおしくなってしまう。夜には、トナカイの鈴の音が聴こえてこないかって耳を澄ましたり・・・・・・。まるで子供みたいね(笑)。大切な思い出がたくさんあって、とにかくクリスマスは1年の中で一番好きな季節よ」
そうした思いを歌いたいというのは、アーティストとしてごく自然な欲求だと思う。クリスマス・アルバムを作ることになった経緯を、もう少し聞いてみよう。
「クリスマス・キャロルを聴いたり歌ったりして育ったわけだし、有名なクリスマス・ソングをラジオで聴くのも大好きだったわ。だから、いつかクリスマス・アルバムを作りたいと、ずっと思っていた。私の歌が有名なクリスマス・ソングと一緒にラジオから流れてきたら素敵だろうな、って。それで、去年のクリスマス・シーズンに恋人たちのクリスマス>とくミス・ユー・モスト>を書いて、すぐにレコーディングを始めたの。スタジオにクリスマスのディスプレイをして、クリスマスの気分を高めて歌った。それが1年近く続いたわけだから、私は世界で一番長くクリスマスを過ごした人間よね、きっと(笑)」
なるほどね。「恋人たちのクリスマス」の楽しさは、そんなところからきてるわけだ。このオールディーズふうのクリスマス・ソング、なにやらフィル・スペクターのクリスマス・アルバムを思わせたりもするのだが。
「そう。あのクリスマス・アルバムは最高の1枚よね。大好きだし、私も、ああいうレトロなフィーリングを呼び起こして楽しくやりたかったの」
そうした懐かしいパーティ気分の一方で、ブラック・ゴスペルや賛美歌のスピリチュアルな雰囲気もストレートに表現されている。そこが『メリー・クリスマス』のもうひとつの糖きどころだろう。
「ゴスペルは私が一番影響を受けた音楽。真に迫るパフォーマンスができるというか、歌っているうちに自分でも予期しないものが出てくることがあるの。「ジーザス・ホワット・ア・ワンダフル・チャイルド」は古いゴスペル・ソングだけど、これを歌った時はまさにそんな感じだったわ。クリスマスは最高に楽しい時だけれど、同時にとても宗教的な時でもあるのよね。私はその両方を表現してみたかったの。オリジナル・アルバムとは違うけれど、とてもいい経験になったわ」
アンプラグド・ライブ、ルーサー・ヴァンドロスとのデュエット、クリスマス・アルバムと続いた、さまざまなスタイルへのチャレンジ。それは「成長の過程であり、学びの場でもある」というマライア。彼女は早くも次のオリジナル・アルバムに取りかかっている。「今は、オリジナル・アルバムをずっと作ってないような気分になってるの。だから、やっと始まったって感じ。今度は、若いヒップホップ系のプロデューサーとも組んでいるので、今までよりストリートっぽい感じが出ると思うわ。そうね、<ドリームラバー>をもう一歩進めた形かしら。もちろん<ヒーロー>のようなバラードもミックスしてね」
と言われれば期待は募るけど、それはまだ先の話。まずはマライアからのクリスマス・プレゼント『メリー・クリスマス』を楽しむことにしようじゃありませんか。